以下、自作品関連でちょっとだけ。
誰も視ない動画といい、誰も読まないブログといい、無駄なことばかりよくやるよね。
To lose in amber / 島みやえい子 (PCゲーム 「奴隷市場」/「奴隷市場Renaissance」 OP)
この To lose in amber はI've屈指の名曲といっていい。
I'veのアルバム「
Disintegration」に収録されているにも関わらず知る人が少ないのは、
ゲームのタイトルが原因で聴きもしないで敬遠されているためであることは間違いない。
【舞台設定】
時期: 1618年
場所:
コスタンティニエ (旧コンスタンティノポリス、現イスタンブル)
1618年、オスマン帝国の都、コスタンティニエ。
ヴェネツィア共和国の大使の随員の一人として帝都に赴任した主人公は、帝都で交易を営む
親友に連れられて足を運んだ奴隷市場で3人の女奴隷と出逢い、身請けしてしまう。
奴隷ではなく全く対等な人間として接する主人公に、彼女も次第に心を開いていく。
共和国と帝国の和平交渉が決裂し開戦が不可避となる一方、帝国の主戦派大臣と結託した
一部イェニチェリ部隊の煽動した暴動と謀反により、帝都は動乱状態に陥る。
そんな中、奴隷を帝国外へ連れ出してはならぬという禁を破り、彼女を解放しようとする主人公。
帝都脱出を試みた彼らを待っていた運命は…
今回も、MADは最終的には余計な演出を排除し、ほとんど切り貼りのみとなった。
元々、エフェクトの多い映像は自分の嗜好に合わないので、編集の途中まで企図していても、
どうしてもいろいろと削っていく方向になる。
自分の指向するところに全く需要がないことは、時折愚痴こそ垂れるが、固より承知の上。
今のニコマスの志向は、譬えれば、クリスチャン・ラッセンやヒロ・ヤマガタの絵のような路線。
墨のみで表現する水墨画のように演出要素がダンスシンクロのみしかない動画はウケない。
更に不思議なもので、センスのない無名Pの動画は、視聴者はクリックしなくてもわかるのだ。
【ちょっとだけ再現風】
タイトルと末尾の言葉は、元のOP映像をちょっとだけ再現してみた。
再現というよりも、雰囲気だけマネをした程度。
タイトルロゴの徐々にブレていく様子の再現で地道に100ばかりキーフレームを打ったくらいで、
技術的な特記事項は一切何もない。
【速度調整】
Premiere Elementsにはタイムリマップ機能がないので、クリップを切って速度を個別調整。
アタリマエの話。
今回の調整分割クリップの数は、4分間で約300。
曲調が緩やかだったせいか、想定していたよりは半分以下で済んだ。
確か皐月Projectの合作のときは、担当の30秒ちょっとでおよそ120分割くらいだったか。
もっとも、細かく分割すればシンクロがよくなるというものではない。
必要な箇所に的確な調整がなされるなら、分割が少ないに越したことはないが、
手や足の動きや体勢の変化の1動作につき、最低でも1つ以上の部分に細分して調整するのが、
わた最底辺流。
100%借り物でやっているせいか、長回し多用でタイムラインすっきり。
長回しが多いのは、異なるダンスの繋ぎ目を極力減らして振付を自然にするという意味の他に、
借り物Pにとって貴重な素材をなるべく無駄にはしたくない、という意図がある。
使い残しが多いと “もったいないお化け” が出る気がする。
それにしても。
ダンスシンクロ調整に編集時間の大半を割くなど、今のニコマスの傾向から見れば明らかに
労力を傾注する対象を誤っている。
哀れだね、センスもないのに日曜大工感覚でやってる万年最底辺Pって奴は。
そう言われたって、またダンスシンクロMADやるけど。
【リズム】
楽譜が入手できなかったため、譜面上の拍子は不明。
素直に捉えれば、この曲は3/4拍子または6/8拍子だろう。
3の倍数の拍子に聴こえる曲では、先入観なく純粋に耳から聴いた場合、2拍子・4拍子に較べて、
人それぞれの曲へのノリ方というものがよりも強く出てくるだろうと思う。
で、千早・あずさ・真それぞれで曲へのノリ方を若干変えてみた。
ダンスを組む時に、それぞれのリズムを想い描きながら振り付けてみたつもり。
三人三様にして、それぞれのキャラクターをダンスに出せたらいいな、と思ったことも理由の一つ。
まあ、見てほとんど分からないから、あまり意味がなかったか。
千早 |
|●・・○・◎|●・・・○・| |
|
あずさ |
|●・○・○・|●・○・○・| |
|
真 |
|●○○●○○|●○○●○○| |
(●=強 ◎=中 ○=弱 ・=補助拍) |
【挿入映像】
トルコのミュージシャン、 Can Atilla (ジャン・アティッラ)のPVをYouTubeから。
題材、映像の雰囲気や舞台が To lose in amber の背景と共通点を持ち、合いそうだと思った。
いづれもトルコ国外でのCD発売がないらしいのが個人的には残念。
・Aşk-ı Hürrem / Can Atilla
「アシュク・ヒュッレム」(ハセキ・ヒュッレム)
アルバム「Aşk-ı Hürrem」(2007)表題曲。
故郷の村を襲ったタタール人によって拉致され、連れ去られたウクライナの少女。
奴隷市場で売られ、遠く離れたイスタンブルまで黒海を船で送られる情景を描いた作品。
3/4拍子。
・Sultanlar Aşkına / Can Atilla
「スルタンラル・アシュクナ」
1453年4月~5月29日にかけての、オスマン朝による
コンスタンティノポリス包囲を題材にした
アルバム「1453 - Sultanlar Aşkına」(2006)の表題曲。
コンスタンティノポリスを取る、という歴代スルタンの宿願達成を目前にした第7代スルタン、メフメト2世。
映像では、静かに祈るメフメト2世の姿や、有名な艦隊の山越えなどオスマンの軍勢の戮力する様子と、
陥落前のコンスタンティノポリスが描かれている。
ヒュッレムと聞いてティンと来た人もいるかも知れない。
彼女は、世界史上で最も有名な女奴隷の一人、
ハセキ・ヒュッレム(1506?-1558)のことである。
本名はアレクサンドラ・リソフスカ(またはアナスタシヤ)と伝えられる。
幼少期に故郷ウクライナで捕虜となり、有名なケフェ(カッファ)の街の奴隷市場で売られ、
後にオスマン朝第10代スルタン、スレイマン1世に献上されて後宮に入り、正妃の座を得た。
ロクセラーナ(またはロクサーナ、ロッサーナ)とも呼ばれる。
使ったPVシーンは、一応どれも元ゲームのOP映像やストーリー内容に合わせて選んではあるものの、
雰囲気作りのみに留まっている。
歴史的な背景からこの物語のあらすじまでわかるような演出は、自分にはまだ無理だった。
構成も何もあったもんじゃないね。
【その他の参考映像など】
・
26 Ağustos Marşı
「26アウストス・マルシュ」
1526年の
モハーチ戦役の勝利を讃えるメフテル(軍楽)のMADらしい? 作者不詳。
映像自体は大規模な攻城戦のようなので、更に元の映像はウィーン包囲の映画か何かかも知れない。
砲撃シーンを使った。
・
Genç Osman
「ゲンチ・オスマン」(若きオスマン)
ゲンチ・オスマンとは、オスマン朝第16代スルタンのオスマン2世(在位1618-1622)のこと。
1618年のイェニチェリのクーデターによって14歳でスルタンに擁立されたが、在位4年で
やはりイェニチェリのクーデターにより惨殺された。
当初はこのゲンチ・オスマンを謳ったメフテル楽曲を一部挿入することも考えていたが、
結局使用しなかった。
・
Ceddin Deden
「ジェッディン・デデン」
日本で恐らく最も人口に膾炙しているメフテル(軍楽)。
オスマン朝を印象付けるために当初は楽曲の一部挿入を考えていたが、これも結局使用しなかった。
・イスタンブルの夕昏の写真
※2009-05-31 一部表現を修正。
自虐ネタでも言葉遣いには気を付けないと。